アニメ的表現の実写化─ドラマ「彼女、お借りします」#1

 漫画「彼女お借りします」の実写ドラマ化。原作の予備知識はあまりないまま第1話を見ました。

 「レンタル彼女」という存在は朝井リョウさんの「レンタル世界」(『ままならないから私とあなた』収録)や、をのひなおさんの「明日、私は誰かのカノジョ」で衆知されつつありますね。

 作品の全体的な空気感としては、あくまで漫画の実写化という立ち位置。登場人物の服装や髪型も、ホームページの相関図を見る限り原作準拠(キャスト|ドラマL『彼女、お借りします』|朝日放送テレビ)。今の流行とは少しずれているけれど、キャラクターの個性を際立たせるのには一役買っていると言えます。

 大西流星さんは普段はキラキラした華のあるアイドルをされているので、モテない設定の和也と役柄がマッチするかどうか、というところでしたが、表情の作り方が上手いなと感じました。興奮を表現するために小鼻を膨らませたり、顔をしかめたりする時もやりすぎ感がなく、いい塩梅で表現している。流行りのコーディネイトではなく、かといって致命的にダサいわけでもない。どちらかというと高校生のような幼さの残る服装だったのも、「よく見たら美形ではあるけれど一般的にはモテない人」の表現方法としてはちょうど良かったのではないでしょうか。

 和也が千鶴と病院のベッドで急接近して、思わずその容姿に釘付けになるシーンは桜田ひよりさんの長い下睫毛や桜色の唇が魅力的に撮られていて、とても良いカットでした。

 あと千鶴が、和也との最初のデートで水族館が初めてだと言って「へへっ」と笑うシーン。現実であの笑い方をする人はあまりいないので、アニメや漫画独特の表現を実際の人間が演じるテレビドラマにうまく落とし込んできたなと強く感じたのはあのシーンでした。

 一方で、和也の両親は息子が彼女を連れてきたことに驚きすぎだと思いましたが、これも原作にある表現なんでしょうね。

 

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